印刷種類でステッカー・シールを選ぶ

ステッカーやシールの印刷の種類はいろいろあります。一般的にシールで使われているのは凸版印刷とオフセット印刷になるかと思います。これは色数やコストの安さなどで決めて行きますが単色の場合はシール印刷機でフルカラーや多色になりますとオフセット印刷になります。ステッカーの印刷の場合は圧倒的にシルク印刷になります。他にはUVインクを使ったオフセットがありますが耐候性はあまりよくないため弊社ではこの印刷方式は採用しておりません。シルク印刷は単色の色の組み合わせでしか印刷できないため、代わりに耐候性の高い溶剤系インクジェットで印刷しています。最近ではこのインクジェット印刷機も印刷機の種類として数えられています。代表的は印刷方法をご紹介させていただきます。

活版(凸版)印刷(シール印刷機)

活版印刷の起源はたいへん古く1400年にグーテンベルグが発明したことによって発展してきました。分かりやすくいうと印鑑のように印刷される面が出っ張っている版になります。また小さい頃に年賀状をイモ板で作ったかと思いますがそんなイメージです。かつての新聞の印刷もこの活版が使われてハンコのようになった活字を並べて記事の文章を構成していました。シール印刷機における版の作り方は亜鉛の版や樹脂の版が使われますが、印刷されない部分を特別な薬品を使って溶かして(腐食させて)いきます。出来上がった版にインクを盛って印刷します。活版印刷の版はあまり長持ちしないため非常に沢山の枚数を印刷するとデザイン面が粗くなってしまいますので、何十万枚といった大量の枚数の場合にはオフセット印刷にとって代わられています。活版のかすれ具合や風合いがいいというお客様もいらっしゃいますのでその場合はシール印刷もお勧めしています。

シール印刷の仕組みは上の図のようになります。上の図では「A」という文字が出っ張っていて(凸になっていて)、その他の部分は薬液で腐食させ溶かしてしまっています。これはちょうど印鑑をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。これがもとの版(刷版)になります。

シール印刷機の仕組みは上の図のようになります。先ほどの刷版を「版胴」に固定します。「インクローラー」が回って、「版胴」にインクが転写されます。この時先程の「A」の部分にインクが付く状態になります。「版胴」と「圧胴」の間にある印刷物に印刷されます。「圧胴」は印鑑の下から強く押し上げるようにして紙にインクが付くさせています。まさにはんこを押したような感じです。

シール印刷機の手順は図のようになります。2色刷りの例でご説明しています。まず「A」の版で赤い色を印刷します。その後に「B」の版で青を印刷すると2色印刷の完成です。2色の色はベタになり境目で別々の色となり交わることはありません。基本的に写真やグラデーションなどの連続諧調は表現することができません。

シルク印刷(スクリーン印刷)

シルク印刷は絹(シルク)の網の目状になった紗と呼ばれるスクリーンを使って印刷します。シルク印刷に使うスクリーンは以前ですと絹やナイロン、テトロン、ステンレスなど色々使っていましたが、最近ではコストの関係もありナイロンやテトロンを使うことが多くなりシルクを使うことが少なくなりました。それで単純にスクリーン印刷と呼ぶ方もいらっしゃいます。

シルクの紗はそのままでは印刷できません。印刷用に使うためにまず、印刷に不要な部分を乳剤で隠すようにして刷版を作成します。これで乳剤に覆われていない部分はインクが通過することができます。この刷版の上にインクを盛って、さらにスキージーと呼ばれるヘラのようなもので上からインクを押し出します。これで印刷物の上にインクがのり印刷されることになります。昔使った「ガリ版印刷」や「プリントごっこ」などがこの方式に近いかと思います。

シルク印刷の原理は上のようになります。茶色の四角形は「紗」と呼ばれるスクリーン印刷のもとの版です。特殊な加工をして「A」の部分以外には乳剤を塗ります。これで「A」以外の部分はインクが透過しません。この紗を使って印刷を行います。

シルク印刷のしくみは上のようになります。印刷物の上に先ほどの紗(刷版)を置いてその上にインクを盛ります。そして、スキージーを動かしてインクを刷りこんでいきます。するとインクは「A」の部分から下へ透過していき印刷物の上にのります。これでデザインが印刷されます。

シルク印刷の手順は上のようになります。2色の場合は「A」版と「B」版ののスクリーンを使います。まず「A」版を使って赤い色で印刷します。その次に「B」版を使って青色を印刷していきます。そして2色刷りが完成します。

インクジェット印刷(溶剤系)、カラーレーザープリンタ印刷

フルカラーで屋外用のステッカーを作ろうとした場合は、インクジェットプリンタかレーザープリンタの選択肢になります。シルク印刷やシール印刷では写真やグラデーションは表現できません。またオフセット印刷ではふるカラー印刷できますが屋外の耐候性はありません。フルカラーで車やバイクなどに貼ってあるステッカーはすべて、インクジェット(溶剤系)またはカラーレーザープリンタによるものです。

インクジェット(溶剤系インクタイプ):これはもともとバスや電車のラッピング、屋外の看板などに使われています。耐候性も大体3年程度ありますので屋外用途のステッカーには最適な印刷方式です。近年の技術進歩で解像度もよくなり写真やグラデーションも綺麗に表現できるようになりました。

カラーレーザープリンタ(トナーインクタイプ):これは業務用のカラーレーザープリンタを用いて通常のステッカーに使うフィルムベースに印刷するものです。トナーはもともと紫外線にも強いので屋外でも1年~3年程度は持っています。丈夫な耐候性を確保しながらコストを下げることに成功した画期的な印刷方式です。

なお、カラーレーザープリンタも溶剤系インクジェットも金・銀・蛍光などの色は出せませんのでご注意ください。また、DICカラーといった指定色にも対応できませんのでご注意ください。指定の色がある場合はフルカラーで印刷できませんがシルク印刷になります。

オフセット印刷

オフセット印刷はカタログやパンフレットから雑誌、書籍、ポスターなど多くの紙媒体の印刷物で使われています。一般的にみられるフルカラー印刷の印刷物のほとんどはこのオフセット印刷になります。普通印刷の版は出っ張っている(凸版)かへこんでいる(凹版)かでインクがのる面とのらない面を作りだしますが、このオフセット印刷は平らな版を使っています。ではどうやって平らな版からインクがのる面とのらない面を区別するかというと水と油の性質を使っています。ではなぜオフセットと呼ぶかといいいますと、刷版から直接印刷するのではなく、「ブランケット」と呼ばれるものに一度転写(オフ)して、印刷物に印刷(セット)するからです。

オフセット印刷の原理は上のようになります。平らな版は「親水層」と「親油層」に分かれています。ちょうど「A」の部分が「親油層」となりインクがのる部分になります。水と油の原理により「A」の部分の他にはインクはのることができません。これが印刷のものと版(刷版)となります。

オフセット印刷機のしくみは図のようになります。先ほどの刷版を「版胴」に固定します。その上からインクを流すと、先ほどの「A」の部分だけにインクがのります。刷版から「ブランケット」に転写されて、印刷物に転写されます。これがオフセット印刷機の原理になります。

オフセット印刷色は上記のように「C」「M」「Y」「K」の4色ですべての色を表現しています。最近ではご家庭にインクジェットプリンターがありますのでお分かりになっている方も多いと思います。写真やグラデーションなどフルカラーで印刷を行うには、なくてはならない印刷機です。
こうして見て見ますとそれぞれのメリット・デメリットがあるのがお分かりになったかと思います。弊社ではこのメリットとデメリットを考えながらお客様の望む形の印刷方法をご提案しています。これだけの特徴を覚えるのも正直お客様にとっては難しいことと思いますので気になることがございましたらお問い合わせいただければと思います。